このコーナーでは毎回、 雷門小福による自らの歩み、名古屋を中心とした芸界の話しなどを地道に紹介いたします。 |
第5回 いざ出陣。小福、お江戸へ!! |
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ひとつおききいたしますけども。最初の芸名の、島 一声(しま いっせい)というのは? おう。結局、小円歌が単なる名前弟子ということだから、自分の弟子に勝手に三遊亭を使うことができないわけだ。で、その小円歌が天狗連時代にだな、本名が渡辺かずひろというんで、渡辺 吃声(わたなべ きっせい)という芸名でやっていたわけだ。つまり、この人も“どもり”でな。 キッセイのキツは吃音(きつおん)の吃ですか? じゃ、ウィークポイントを逆手に取ったネーミング? そうそうそう。そういうわけだな。逆に売り物にしたわけだ。で、俺の本名が中島だろ。そこから島を持ってくる。吃声から声を持ってくる。で、一番でしだから芸名“島 一声”というわけだな。 いいかげんですね。 そうそう。もう馬鹿馬鹿しくてな。俺は当然、三遊亭何某をもらえるものだと思ってたけどな。結局、とんでもないこった。 ということは、ど頭から師匠選びを間違えたということですか? 調査不足。 そうそう。しかし、こんな話しもあってな。今でもある鵜飼興行ってのな。この地方の演歌の興行をやる事務所だな。その頃、岡晴夫の全盛期でな。(小円歌が)鵜飼ンところに出入りをしてたわけだな。で、御園座の岡晴夫ショーの前座をだな、立体落語だ。洋服着て、“木炭車”をやっとったわけだ。 木炭車? おう。椅子を持ってきてよう。御園座の広いところで。俺、その芸にはびっくりしたんだ。すっごい人が名古屋にはいるなぁと思ってなぁ。それで門を叩いたんだ。そうそうそう思い出した。切っ掛けはそれなんだ。岡晴夫を観に行ってからなんだ。 椅子でやるんですか? そう。それも(先代)円歌師匠のネタなんだわ。これが座りと違う、立体落語なんだわ。 受けてたんですか? これが受けたんだ。これは凄いって入門したら、これがとんだくわせものだったわけだな。 師匠は、「これだ」と思ったら行動が早いんですね。慎重に考えてぇ・・・とか、そういうことはないんですね。 ないないない。全然ない。 で後々、後悔する。 そうそう。 小円歌師匠が亡くなったのはいつ頃ですか? もう、3年ばかり前。毎日新聞から取材が来たよ。「どんな方でしたか?」って。全部正直に喋ってやった。 ということは、新聞にお亡くなりになったという記事が出たんですか? うん。というのはねぇ、自分もどもりだし足が悪い身障者なわけだ。そういう施設を慰問に回ったわけだ。それで表彰をされてるんだな。だから新聞社が取材に来たわけだ。 小円歌の名前で回られたんですか? そうそう。小円歌の名前で。 いいこともしてるじゃないですか。 そうだよー。ある面では評価されてるわけだな。 |
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さぁ、その小円歌門下を跳びだしてまた富士劇場へ行く。この富士劇場というのは? これは戦後にできた演芸場でね。(昭和35年閉鎖) でぇ最後は演芸のほかに芝居も入れるようになってねぇ。それで芝居と漫才でおかしくなっちゃって、畳んじゃったわけだな。で、その後にこの大須演芸場ができたんだな。 そうなんですか。では、その富士劇場と大須演芸場は営業が重なってないんですか? うん、重なってない。大須演芸場は第二の演芸ブームに乗ってできたわけだな。 で、富士劇場へ行ってどうしたんですか? 富士劇場に、今の落語協会会長の円歌師匠。当時、歌奴が二つ目で来てたわけだな。俺はそこで、「師匠。弟子にしてください」って言ったわけだ。 それは、小円歌師匠に内緒でですか? そう内緒で。 それ、反則じゃないですか。 そう、反則。ルール違反。 で、歌奴さんは「おう、いいよ」って言うわけだ。今考えてみりゃ、二つ目で弟子が取れるわけがない。ということはその時、歌奴さんは俺をからかってたわけだな。そうとは知らずそれを真に受けてだな上京することになるわけだ。 新宿の末広亭だわな。 「おう、やっこ。お客さんだぞー」ってな。当時、やっこ、やっこって呼ばれてたからな。 「んっ・・・? 何だ!? 坊やかぁ。何しに来たんだ?」 「師匠が弟子にしてやるといわれましたので、やってまいりました。」 そうしたら奴さん、びっくりしちゃって。とりあえず裏のうどん屋さんでうどん食わせてくれて、 「兄さん(小円歌)ところはどうしたんだ?」 「黙って来ました。」 「それはまずいよぉ。兄さんところを黙ってきたんじゃ俺が兄さんの弟子を盗ったみたいで。ダメだから。とりあえず今日は帰れ。」ってそれで、帰されちゃったんだ。ところがそれで帰るわけにもいかない。銭がないもん。それで埼玉、大宮のパチンコ屋へ住み込んで働いて、で、あそこでヒロポン中毒になってぇ・・・。 おー!!! 黄金のヒロポン中毒時代へと入るわけですね? そう。そこからヒロポン中毒時代がはじまるわけだな。 そうでしたかぁ。いよいよ話しは、どんどんお楽しみへと入っていくわけですね。 |
壮絶なるヒロポン中毒時代を経験した後、小福のとった行動は如何に? (続く・・・。) |