おまたせいたしました。
平成17年10月8日、盛大に執り行われました姫企画第8弾
“芸歴還暦・秋の大東両祭り”のレポート登場です。
そもそもこの企画は、鈴鹿8耐との同日開催による
“大須8時間耐久・真夏の大東両祭り”として立案
されたのであります。しかし、7月下旬から9月下旬
までは、暑さを理由に姫企画をやらないとの取り決めが
あり、あえなくご破算。仕切り直しにと、大東両閣下の
芸歴スタートが昭和20年の11月11日とのことなので、
その日により近づけるべく、10月8日に決定。
はたしてお客さんが集まるのか? 当日まで分からない。


9月下旬。突如閣下が「これ、うちで作ってきたから、近所に張らんといかんがね!」と怒涛のアピール!! 驚いたことに、写真は貼り付けたものかと思いきやこれがとんでもない。写真と寿々木富士若の文字は元々ポスターに印刷されているのである。で、その周囲を手書きで埋めたのである。てことは、この宣伝用ポスターが閣下のうちにはたくさんあるというわけだ。な、なんたる周到さ。この在庫が尽きない限り、閣下は加齢しないのだ。会への執念を感じずにはいられない究極の一品である。
(拡大写真もご参照ください)
いよいよ当日。開演であります。

いよいよお待ちかねの開演。何人来場するか皆目見当のつかぬありさま。日中の雨で客足鈍るかと思いきや一切関係なし!! 生の浪曲の醍醐味を求め、ここ大須演芸場に熱心なお客さんが集結。
お昼の演芸場もよろしく。
まずは、大黒様によるお祝いの舞い。

13種以上の芸を持つ男・その名は大東両。通称閣下。この日はお昼に安城へ営業。その足でここ演芸場へ駆けつけ3時間のオンステージ。まさに名古屋が誇る芸の鉄人。
この人の辞書に、「眠い。面倒くさい。まぁいいか。」という文字はない。ちなみに私の辞書には当然全部ある。特に“眠い”は十八番!!

お次はスリルとサスペンスの皿回しでござい。この皿回し、そんじょそこらの皿回しとはちょと違う!! 出刃包丁(しかも3本で!!)で支える皿回し。
なかなか包丁に皿が移らず、思わず「今日は雨だで調子が悪い」と一言。場内大爆笑は言うまでもない。

手を離した瞬間、その尋常じゃない危なっかしさに、それまでのお祝いムードが一変。恐怖と戦慄で観る者の顔が引きつった。そして気が付けば皆、口々に「もういい!! もういい!! もう十分観たから、お願いだからとめてくれぇー!!」と懇願の嵐。しかしはたと気が付けば、これすらも、お客の心をつかむという閣下による策略だったのだ!! おそるべし大東両閣下。

大道芸コーナーが終わって、今日の出演者が一同に。雷門幸福(普通に独身)&雷門獅篭(夫婦生活失敗経験者)が加わり、閣下の60年の歩みをトーク。
どのタイミングで話し掛けてよいものか皆目見当がつかず若手は苦戦。しかし当初の趣旨は真っ当できたと思う。

トリの浪曲のお題即席アンケートがはじまる。候補@勧進帳、A乃木将軍、B佐渡情話。拍手の多さで勧進帳に軍配。閣下は本当にどれでもやるつもりでいたみたいですよ。前日リハーサルでは佐渡情話やってましたし。よくそれだけ頭にセリフが入るなしかし。もう自分と比較したくないわ。

3者会談終了後、登場は雷門幸福(自炊率85%)。満員の客席に「1週間前、切符は何枚売れてたでしょう?」とクイズ。
正解は「5枚!!」と。本当ですよ。マジですから。名古屋移籍以後、これほどあせったのは生まれて初めてです。“万博開幕日、来場者3万人台に協会戦慄”の気持ち痛いほど分かりました。

うなぎ屋やりました。うなぎ持って外へ飛び出した以降は、イリュージョンです。さすが、以前に属した出自にも忠実な芸人です。全方位外交の手本がここにあります。ってことにしといてください。

本日のお楽しみの一つがこちら、閣下による落語!!
大東両祭り打診の際、「閣下は落語はおやりにならないですよねぇ」と差し向けたのが間違いだった。
「あんたぁー!! わしが落語やったことないわけないがね」と豪語。実現の運びとなった。

左甚五郎傳“動く蟹”の一席。
「誰もやらない落語を」との宣伝文句に、胸元から噺の途中、蟹が登場。
確かに観たことないかたちです。
いよいよ大東両ワールド、エンジン全開であります。
お仲入りィー!! DONDON!!

後半スタートはもちろん紙業芸。
かろやかなるステップでまずは注文無しで紙切り開始。

名刺代わりの佐渡おけさ。

ここから注文とっての紙切り。
まずは、芸者ガール。コールガールじゃないよ。古いね。

声優代わったドラえもん。

こりゃ何だ!? ろくっろ首か? あれは女じゃなかったか?
せっかくだからガンダム切ればよかったのになぁ。

恵比寿大黒。短い時間でお見事。

普段の小泉首相と違い、これは前原新代表の質問に苦悩する小泉首相。

自らを祝う、寿の文字。このあと投げ銭、花束の雨あられ。

大須の誇るスーパースター、大須で2番目にハンサムな男(一番目は誰か当ててください。昼席常連の方なら分かるはずです。)、雷門“猫背王”獅篭登場だぁ。
はやくファイティングオペラ・ハッスルに出るような落語家になってください。ハッスルも大須演芸場も名古屋発祥のお笑いエンターテインメントですから。

大東両閣下直伝のがまの油をここで披露するとはさすが兄弟子。楽屋で着替える閣下も「おぅ、ここで披露するとは思わなんだ」と独白。
ちなみに大須一のハンサムボーイは誰か? この刀が登場するシーンが大ヒントになっている。あいかわらずマニアックだな、おい!!

がまの油が終わり一旦閉幕。
幕が開くと舞台は様相が一変。場内「うわぁー!!」とうなりが上がり、下手で控える閣下いや、寿々木富士若師も相当にご満悦。

浪曲、勧進帳・安宅の関の幕開きであります。

観よ!! この力強い見得を!!

弁慶の勇ましい読み上げの場面。
映像をゆっくり拝見いたしましたが、実に格好いいんですね。これが。浪曲の食わず嫌いが世の中には結構多いのではないのでしょうか?
終演の際には場内、涙を流す方もいたとか。何としても今日の会を浪曲で締めたいというのが当初からの閣下の強い要望でありました。お客さんにもその熱意に応えていただき感謝申し上げます。

後日談。
お茶子の姫がこの日使用した前掛けを閣下が後日、「貸してくれ」とうちに持って帰ったという。そして数日後、出来上がったのが左の写真。
か、閣下!! あなたはどこまで器用な方なのですか!!


 構想1年。途中、「これほどの芸の持ち主相手でも、誰も興味がないんだな。」と思うこともあったがしかし、予測が覆されて何よりでありました。
 今年の姫企画。年2回でしたけど、私、これでいっぱいいっぱいでした。個人的精進はいいから、こっちをもっと力入れろとのニーズもあるかとは思いますが、地道に詰めてまいります。今回については、純粋大須レギュラーのみでの成果ということに意義があったのではなかろうかと思います。少しはやるんです。大須のレギュラーも。
 また来年お会いしましょう。さようなら。
(観衆 200名。満員札止め。)

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