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2013年1月18日 周遊券廃止にこの国の本質を見た。
 5時50分起床。外はまだ暗いので二度寝しました。6時10分に再び起きると外は明るくなり始めてきました。出かける支度を済ませ宿のおじさんを呼びましたが、昨晩の主は留守で下働きのおじさんが来ました。
「自転車を借りたいのですが」
「400LKR!」
「えっ!?」
いろいろと刺激の強い宿です。
「あのー。昨晩、ここの主は250LKRって言ったのよ。」
「250LKR!」
白旗かよ! ポケットに手を入れると500LKR紙幣の他に小額合わせて220LKRしかありませんでした。500LKR紙幣を出すと
「釣りがない」
とつれない返事です。
「じゃぁ220LKR。だめなら他所で借りるわ」
「220LKRでいい」
すべてが言い値!! これも国際交流ということでしょうか?

 気を取り直して散策スタートです。ここ聖地アヌラーダプラは、スリランカの誇る文化三角地帯・西方面の一角です。ここは今から2500年以上前にスリランカ最古の都があった世界遺産です。仏教はこの地からスリランカ全土、ミャンマー、タイ、カンボジアへと伝わったそうです。当時の文明は非常に高度で灌漑施設も上下水道も現役で使用されているそうです。しかし、ここに栄えた王朝も南インドからの侵略者との抗争の末、約1400年間で幕を閉じたのでした。それでも江戸幕府が300年弱であることを思い出すと気を失う長さです。ここにはスリランカ全土から熱心な信者が今なお集まってきます。

 遺跡エリアの南端、イスルムニヤ精舎に行きました。がしかし、まもなく到着というところで異変に気がつきました。金銭とパスポートを部屋に置きっぱなしにしてきたのです。あの怪しい宿といえない宿に置きっぱなしではとても心配です。とはいえ今すぐに引き返すのも結構な二度手間です。とりあえず、イスルムニヤ精舎を見てから宿に戻ることにしました。


↑早朝の宿、正面写真です。この人が言い値おじさんです。


↑昨晩、この建物を見たときは思いっきり引いてしまいました。抜群の怪しさです。


↑これが即興で製作された領収書です。もぐりの宿感がにじみ出てます。

 イスルムニヤ精舎には紀元前3世紀に建てられた僧院の一部が残っており、本堂にすえられた巨大な横たわる仏像は浅草寺の援助で塗り替えられたのだそうです。ここは遺跡入場料とは別に200LKRが必要なのですが早朝のため切符売り場には誰もいませんでした。


↑本堂の脇の宝物殿には「恋人の像」と「王族の像」が納められています。


↑浅草寺の援助で塗り替えられた仏像。


↑青い樹木とレンガ色の建物。インドのゴアのコロニアル風な景色を思い出します。

 急いで宿に戻るとお金とパスポートは無事でした。気を取り直して、散策を再開しました。向かったのはこの地のハイライトと言っていいスリー・マハー菩提樹です。紀元前3世紀にインドの王様が、仏陀がその下で悟りを開いたとされるインド・ブッダガヤの菩提樹の分け木をここへ運び植樹されたといいます。現在は周囲を白壁で覆い厳かに祀られています。ここを見ずしてアヌラーダプラを去るわけにはいかなしというそんな場所なのです。木の周囲には早朝から熱心に祈りをささげる信者の姿が見られました。


↑樹齢2000年といいますから、代々大切にされたがゆえにこうして拝めるのであります。


↑熱心な信者です。


↑その他、菩提樹に近いところにルワンウェリ・サーヤ大塔があります。


↑遺跡エリア北部のアバヤギリ大塔です。紀元前1世紀に造られたといいます。

 主要なところを回っているうちに午前8時を過ぎました。遺跡エリア内にある考古学博物館で遺跡入場券が発売開始となる時刻を過ぎました。つまり、この時間までは切符なしで見ることができます。買いたくても切符は売っていないのですから。とある遺跡の入り口で警備員らしいおじさんに「切符は?」と聞かれました。「今から買いに行きます」と答えて売り場へと向かいました。

 私がこの旅で持参した少しだけ古い地歩によると、ここアヌラーダプらを含む文化三角地帯を巡る周遊券が売られているとのことであります。世界遺産2箇所分の入場料で3箇所見れてしかも20日間有効という大変便利な切符です。買わない手はありません。窓口で周遊券を求めると窓口のおばちゃんが
「キャンセル!!」
と言うではありませんか。要は切符が廃止されたとのことです。これでは一箇所ずつ入場料を払う上に当日のみ有効となりのですから、これは著しいサービス低下を意味します。ビザの値上げを知ったときに察したこの国のいやらしさを目の当たりにした瞬間でした。観光客の足元を見るという体質が露骨であるということです。ここアヌラーダプラだけでも入場料が25米ドル(日本円約2250円)かかるのです。あの同じ世界遺産・インドのタジマハールですら750インドルピー(日本円約1425円)ですからいかにぼったくりであるかが伺え知れます。もちろん現地人にはこのような高額は課せられませんから尚一層癪にさわります。この時点で菩提樹とかを見ていないとなれば払わざるを得ないと思うかもしれませんが、もう主要な箇所は見てしまっているのです。このようなやり方に屈服するわけにもいきませんので窓口のおばちゃんに
「じゃぁ、私もここの観光をキャンセルするわ」
と告げました。世界遺産指定は遺跡の保護への関心を喚起しこそすれこうした値上げの口実に利用されるということを知っておく必要があると思います。

 ここに居続ける理由はもうないので途中で朝食を食べて宿に戻ることにしました。怪しい宿をチェックアウトして徒歩10分のバス停に行きニューバススタンドへ向かいました。ここで次の目的地、ポロンナルワ行きのバスに乗りました。公共交通機関こそが適正価格であります。安価で車窓を楽しみます。世界遺産訪問よりも精神はとても安定します。

 バスに揺られて約3時間。文化三角地帯の東部の一角、世界遺産のポロンナルワに着きました。バス停には3人くらいの宿の客引きがいました。
「あんちゃん。1500LKRでどうだい?」
と来ます。
「1000LKRなら泊まる」
というと、気のない反応。
「1000は汚いところしかない」
と。その場を去ろうとする私を引きとめようとすらしません。なるほど1500LKRというのは決してぼったくりではなさそうです。こうしたやり取りの中に地域の相場観をつかまねばならないのです。これがなかなか楽しいのです。数箇所散策し1000LKRの宿を見つけました。荷を解きシャワーを浴び、近所を散策して回りました。1.5Lが定価70LKRとボトルに表記された水を65LKRで確保しました。65LKRを右手に握り締め「これだけしかないのだけど・・・。常温のやつでいいからさ・・・」何てなことを交渉するわけです。数件回ればその内、当たりを引きます。こうした経験を経てようやく旅をしているという満足を得るのです。私の場合ですが。

 いつでも市場に足を運ぶと気分が高揚します。大変狭い市場でしたがいいものです。レストランで食事を済ませ部屋に戻り日記を書いておやすみなさい。遺跡巡りの朝は早いです。貧乏性ゆえに時間を有効に使いたい衝動に従うまでです。




↑市場の風景です。


↑近くのレストランで食べたベジクトゥです。 アッパというココナツミルク入りのクレープ状のものを砕いて野菜と炒めます。食べ始めは「いける!」と思いましたが食べるうちに飽きがきて半分食べたところでお腹がいっぱいです。いくら空腹だとしても一人ではたいらげられません。残したのでとても気が引けました。
収支
レンタサイクル 220LKR、トイレ 11LKR、朝食(カツレツバーガー) 75LKR、水1L 55LKR、バス アヌラーダプラ・ニューバススタンド行き 10LKR、バス アヌラーダプラ→ポロンナルワ 140LKR、ホテル 1000LKR、水1.5L 65LKR、ベジクトゥ(夕食) 200LKR

残り 28400円、97米ドル、T/C 300米ドル、8955LKR、18MYR、261000IDR
2013.01.17 2013.01.19
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