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2013年1月22日 深夜の大移動で首都攻略。 | |
キャンディー駅のベンチで日付が変わりました。ようやく窓口も開きコロンボ行き3等(105LKR 約74円)を買い改札を通りました。薄暗いプラットフォームにこれから乗る列車を見つけました。6両編成のうちたった1両が客車でした。中は輪をかけて薄暗く室内を照らす明かりは小さなLEDのようなライトが3つでした。客5〜6人ががてんでバラバラに腰を掛けあまりの暗さに表情はうかがい知れません。もちろん観光客は皆無です。一瞬たじろいでしまいましたが現地の治安のよさを肌で感じてもいましたから、さっさと乗り込みました。 午前1時半。汽笛を鳴らした列車は定刻にキャンディー駅を後にしました。深夜の移動スタートです。今朝同様、数十分でペラデニヤ駅に着きました。乗り換えようと出口に向かうと1人の男性が乗ってきました。迷わずこの男性に声を掛けました。 「コロンボに行きたいのですがここで乗り換えですか?」 「え? コロンボ? 違う。このまま乗り続けろ」 と言うではありませんか。思い込みというのは恐ろしいものです。ここで乗り換えるのだと思い込んでいたのですから。周りの5〜6人の客は皆寝ている上に降りようとする人が一人もいませんでした。まさかたたき起こして質問する訳にもいきませんから、私はこのおじさんに感謝しなければなりません。一人旅のリスクでもあり同時に楽しみでもあります。 そのおじさんが私の隣に座りいろいろとお話をしました。お互い英語が不慣れなため深い内容にまで踏み込むわけにはいきませんでしたが、その方は軍人でとても親切な方でした。しばらくして、開放された窓から夜空を眺めました。そこには今まで見たことがないような澄み渡る星空が展開されていました。列車はガタゴトガタゴトとゆるやかに西へ西へと向かいます。「スリランカで独り、銀河鉄道の夜を味わうの巻」などと心の中でつぶやいておりました。今旅の印象深い一場面であります。 気がつくとおじさんが「すぐに荷物をまとめろ。乗換えだ」と教えてくれました。どうやら私は眠りについておりました。指示に従ってフォーム反対側の列車に乗り込みました。長い車列に客は実にまばらでした。まぶしい明かりが各車内を照らしています。何もかもが先ほどの列車とは違いました。列車は西へ向かっていますから間違いはなさそうですが実にのろのろでどうやら各駅停車のようです。いつコロンボに着くのかが心配になってきました。しかし、駅に止まるたびに乗客が乗り込んで来て座席がどんどん人で埋まっていきました。どうやらコロンボへの通勤圏に入っているようです。 ↑通勤列車でぐったりするのは国が違っても同じことのようであります。 午前5時40分。乗客が一斉に列車から降りていきます。どうやらコロンボ・フォート駅に着いたようです。これでホテル一泊分が完全に浮きました。たった1000円前後の節約に過ぎませんが旅先での出費は名古屋で暮らす時とは感覚がまったく違います。自然とそういう気分になるのです。 旧首都見物は後回しにしてここから南へ海岸沿いを下った世界遺産・ゴールを目指すことにします。午後に再びコロンボに戻る予定でいます。そこで困るのが荷物ということになります。いつだって貧乏旅行のネックはこの荷物の処理です。しかしここコロンボ・フォート駅には貧乏人の強い味方があるのです。安価で荷物を預かるクロークサービスがあるらしいのです。広い駅を捜し歩きようやくデスクを発見しました。重い荷物ひとつで56LKRといいますから約40円!!です。涙が出るほどうれしかったです。 ↑駅正面の銅像というより金像です。JR岐阜駅の黄金の信長像みたいですが、いったい誰でしょうか? 駅前をたくさんのバスが行き交います。どれに乗ればいいのでしょう? 近くの人が2番のバスに乗れと教えてくれました。すぐに通りかかってきたので呼び止めて乗り込みました。バスは海岸沿いをひたすら南へと向かい約3時間。世界遺産・ゴールの市街地へとたどり着きました。ここゴールはスリランカ南部の最大都市で14世紀ごろにはアラビア商人たちの東方貿易地として繁栄したところです。その後、1589年にはポルトガル人たちが最初の砦を築きました。これをきっかけに外国人による支配が始まり、1640年にはオランダ人が砦を拡張しその中に街を築きました。これが現在のゴール旧市街の原型であります。イギリス植民地時代も支配の重要拠点とされました。スリランカの被支配国としての歴史の跡をここに見ることができるのです。このエリアだけ仏教色が著しく少なく代わってキリスト教会が立ち並ぶまさしくコロニアルな風情が漂っています。 スリランカ内部の涼しい山岳地帯から移動したばかりのせいか日差しがことのほか強く感じられ汗ばんできました。すれちがう西洋人の白い肌はうっすらと赤みがかっていました。この日差しに思わず過去のインド旅行を思い出してしまいました。南インドらしい気候ということです。 ↑ゴール駅正面玄関。 メインゲートをくぐり一番目に付く時計台へ足を運びました。 ↑時計台と私。疲労が表情から読み取れます。 ↑砦からはこんな景色が望めます。 ↑緑に赤茶色。インドのゴア旧市街地を思い出します。 景色以外にこれといった見所はありません。しかし、いかにも西洋人が喜びそうな場所ですね。私はそうでもありませんが。もっと手垢まみれといいますか、庶民のエネルギーがほとばしっているような所のほうがいいですね。旧市街地を練り歩いたところでコロンボ行きのバスに乗って戻ることにしました。 3時間後、コロンボ・フォート駅に戻りました。スリランカ最後の宿をこれから探しに行きます。いつもでしたら重い荷物を背負いながら宿探しをしますが今日はそうではありません。明日の出国間際まで駅に預けっ放しにしますから身軽です。荷物を背負いながらの宿探しほど嫌なものはありません。重さや疲労蓄積によって、少々割高でもついつい妥協してしまいます。今日はその心配はありません。じっくり攻めましょう。 地歩の安宿情報はコロンボでも頼りにはなりません。中級以上のホテルばかりが紹介されており私の助けになりません。足で稼ぐしかなさそうです。とはいえ、フォート地区にドミトリー併設のYMCAがあるそうなので行ってみることにしました。探し出してフロントにドミトリーを頼みました。すると 「850LKR!!」 と言うではないですか? 記帳しようとする手が止まってしまいました。 「What did you say?」 「850LKR」 「それシングル?」 「いや、ドミトリー!!」 話になりません。共同部屋の使用が一晩で850LKR何てとても認められるものではありません。とっとと外に出ました。私はムンバイの悪夢を思い出してしまいました。大都市ゆえの狂乱物価です。ドミトリーで850ならシングルルームはいくらになるのでしょうか? 先が思いやられます。フォート地区を離れ駅前のペター地区に行きました。駅前の商業地区はまるで秋葉原のようで電化製品を扱う店が多くまばらにホテルの看板が散見できました。虱潰しに部屋の値段を聞きだし部屋も見せてもらいました。合計8軒くらいを見て回ったでしょうか? 駅前のホテル・サウス・アジアがシングル最安の800LKRでした。 「泊めてください」 と頼むと 「ここはうるさいよ。いいの?」 と商売っ気のないことを言ってきました。 「いいです。私、薬飲んで寝ますから」 と答えました。シャワー、トイレが共同でとてもとてもきれいな部屋とは言いがたいのですが立地、料金共に問題なしです。 ↑これがホテル・サウス・アジアです。 荷物を降ろし、2日ぶりにシャワーを浴びました。気持ちよかったです。早々に散歩に出ました。コロンボの海岸は一面広場となっており市民の憩いの場となっています。日没が近いので夕陽を見に行きました。 ↑海岸にはこんな近代的なホテルが建っています。 ↑海岸はこのように大砲がならび市民の憩いの場となっております。 ↑大砲と私。 海岸を南へと歩きとあるショッピングモールに行きました。地下はフードコートとスーパーマーケットになっています。ここで今旅最初の贅沢をしました。350MLの缶ビール(100LKR 約70円)を買いました。これが唯一の贅沢というのですからやせるはずです。 外へ出て目の前のバス停から駅方面のバスに乗りフォート駅に戻りました。近所のレストランで夕食を摂ることにしました。スリランカ名物のアッパーでカレーを食べました。アッパーはココナツミルク入りのスリランカ版カレーナンといったものです。カレーをつけて口に運びましたが「ん?」と思ったのはちょっと酸っぱいのです。明日のお腹が少し心配になってきました。テーブルには3枚ほどのアッパーがありましたが1枚だけいただきあとは手をつけませんでした。お会計を頼むと店の給仕は残ったアッパーを取り上げアッパーが元置いてあった陳列棚へ戻しました。お後のお客さんに回すのでしょう。日本でいうところのサラダのパセリを使い回しするに似たようなものでしょうか? 見て見ぬ振りすることにしました。赤福、白い恋人の偽装なんてかわいいものです。日本人は潔癖にして実に幸せな人々です。 ホテルに戻ってベッドに横になりました。少し痒くなってきたのは気のせいでしょうか? 800LKRで文句などえるはずもありません。入眠剤の助けもあって気がつけば眠りについておりました。 |
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収支 | |
鉄道 キャンディー→コロンボ・フォート(3等) 105LKR、荷物預け 56LKS、バス コロンボ・フォート→ゴール 138LKR、バス ゴール→コロンボ・フォート 138LKR、水1.5L 70LKR、ホテル 800LKR、ビール350ML 100LKR、バス コロンボ・フォート行き 12LKR、アッパーカレー 60LKR、なぞの20LKR入金 残り 25400円、67米ドル、T/C 300米ドル、1770LKR、18MYR、261000IDR |
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2013.01.21 2013.01.23 | |
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