2019年12月12日 イスラマバードのメトロバス、突然の運休に大ピンチ到来の巻
日本暮らしで日の出、日の入りの時間を気にして暮らしている人はまずいないでしょう。しかし外国、特にパキスタンという治安に問題がありそうな国では気にしない日はありません。明るいうちにすべての行動を済ませるというのが基本となりますから連日、明るい時間は貴重です。ですから、明るくなり始める日の出時間の30分前には行動を開始します。

そこで日の出間際にチェックアウトをします。旅先では定番の荷物預けをフロントの男に頼みましたが、さげすむ笑いを浮かべるばかりで一向に預かろうとしません。外国人の足元を見放題の状況ですから、奴らにこちらをもてなすような気持ちは微塵もないのです。真底、ラワルピンディーのアンテパラ・ホテルは本物のクソホテルです。仕方ないので、荷物を背負って出かけます。

昨日、ラホール発のバス降り立ったジェネラル・バス・スタンドに向います。ガイド本にはフォワラ・チョークで乗合いスズキに乗れると記されてますが、行ってみると見当たりません。チンチーを拾いました。で、連れて行かれた場所は昨日降り立ったジェネラル・バス・スタンドではありません。しかし建物の表記にはピールワダイ・ジェネラル・バス・スタンドと書いてあります。(写真001参照)頭の中に大きな”???”が浮かびました。帰国して分かりましたが、昨日降り立ったのはピールワダイ・バス・ストップという所で、ピールワダイ・ジェネラル・バス・スタンドから500メートルくらい北にあるバスの溜まり場でした。

今から、ここラワルピンディーから西に約50キロの所にある世界遺産・タキシラに向います。タキシラ方面のバスを見つけて乗って約1時間。降り立つとバスの助手がチンチー乗りのおじさんに声をかけてくれて、タキシラ遺跡への道筋が整いました。チンチーで約20分、タキシラ遺跡に着きました。

世界遺産・タキシラ遺跡はガンダーラ遺跡群の中でも重要とされ、紀元前326年には、あのアレキサンダー大王が訪れたそうです。堅固な城壁に覆われた豊かな国で、タキシラとは「切り出された石の都」というそうです。アレキサンダー大王に加勢して繁栄を極めるも紀元5世紀には、フン族の侵攻を受けて陥落したといいます。19世紀後半から発掘がなされ、保存のよい仏像などが隣接した博物館(写真002〜004参照)で見ることができます。

遺跡は5キロ四方に点在しているため徒歩では無理です。貸切チンチーで見て回ります。まず、ダルマラージカーに行きました(写真005〜007参照)。着くと、この遺跡に駐在らしきガイドがぴったりくっついて、広々とした遺跡内をこと細かく案内してくれます。私は案内の内容よりも「この人にチップをいくら払えばいいのだろうか?」が気になって気になってしかたなかったです。「ここに賽銭をお願いします」と言われ50PKR、別れ際にチップとして50PKRを渡しました。喜んで受け取っていたところをみると、多めだったかもしれません。

次にシルカップに行きました(写真008〜011参照)。ここは原住民の生活の場になってるんですね。本当にのどかな農耕民族の暮らしの一端を垣間見ることができました。伐採した枝を山盛りにした荷馬車が目の前を横切ります。まるで映画の一場面です。インドよりここはやはりディープですね。幸せな気持ちになりました。

次にモーラ・モラドゥに行きました(写真012〜013参照)。山の中にありました。紀元3世紀から5世紀頃に建てられたストゥーパと僧院からなる仏教遺産です。ここでも駐在のガイドのおじいさんがつきっきりになりました。おじいさんが南京錠を外し扉を開けると中から、仏教の宇宙観を表す七輪の小塔が姿を見せました(写真014参照)。おじいさん「これ、レプリカちゃうよ」と誇らしげです。おじいさんに20PKR渡したらちゃんと受け取りました。この辺りがチップの相場なのでしょうか。それにしても約1500年前の物がそのまま残されているというのは驚異ですね。

さて、次は首都・イスラマバードに向います。貸切チンチーのドライバーにラワルピンディー方面のバスが通る大通りまで連れて行ってもらいました。1200PKRでのチャーターと約束しておりましたので後部座席で1200PKR丁度あるかを確認します。ドライバーは前を見て運転してるわけですから。さぁ、大通りに着きます。後部座席に乗ったままお金は渡しません。アムリトサル空港でひろったトゥクトゥでの学習を役立てます。車から降りてお釣りがいらない1200PKRをさっと渡すとドライバーは「私には家族がいて・・・」みたいなことが始まりました。が、しかし。さっさとその場を足早に去ります。これだから気が抜けないのであります。

ここから乗合いミニバンに乗って、ピールワダイ・バス・ストップで降ります。ここからイスラマバードに向うバスが出ているとは思うのですがどれがそのバスなのか分かりません。タクシーをひろいました。見どころは皆無に近いのですが、中でも気になるシャー・ファイサル・モスクに行きました(写真015〜017参照)。一区画2キロ四方のだだっ広いエリアが碁盤目状に並ぶ所に貧相な交通手段しかないのですから、旅する者にとって移動はハードルが高すぎます。敷地が効率よく使われているようには見えず、建造して正解だったのかどうか。地元民の本音が聞きたいところです。

モスクの高台からイスラマバードを見下ろすと、3棟の高層ビルが際立って目立ちます。がぜん、行ってみたくなりました。モスク前の広場からちょくちょくバスが出てるようなのでそのエリアに行くバスを見つけて乗りました。

そのビル。国の誇りのようにそびえてました(写真018〜021参照)。入ってみると大型デパートになっていました。多分、チャイナ資本じゃないでしょうか。対インドを見据えてこの国は中国と親密だと思いますので。ハイブランドの店舗も見受けます。誰が買えるというのでしょうか?この国の所得水準で。ここから近い旧市街地・ラワルピンディーの生活水準と比べるとその超がつく格差に、めまいがしそうです。

さてこれからの計画は、バスで一晩かけてここから南へ約800キロくらいの場所にある、モヘンジョダロの近郊都市・サッカルに移動します。腹ごしらえにこの高層ビル内のフードコートで大盛りのビリヤニをいただきました(写真022参照)。本当に大盛りだったわ。

さてここからは、サッカルに向うバスを探し当てなければなりません。私の計画としてはここイスラマバードとラワルピンディーを結ぶメトロバスという実に近代的な交通システムがありまして、夕方時のラッシュも関係なく素早く移動が出来る画期的な移動手段を使ってラワルピンディーでバスに乗ろうと考えておりました。高層ビルの目の前にその駅がありまして実際、ビルに入る前にそのメトロバスが稼動しているのを自分の目で確かめておいたほどの念のいれようでした。ところがです。ビリヤニを食べ終え、駅に行って切符を買おうとすると駅員の男が「今は動いてない」と言うではないですか。まだ日没には1時間以上ある時間帯にも関わらずです。そんな不甲斐ない公共インフラってあっていいのか?価値観がぶっとんでます。この人達にこの手の高度な交通システムを上手に使いこなす技量も気力もないのかもしれませんね。参りました。当初の計画を申しますと、昨晩の宿の場所はこのメトロバスの駅から徒歩10分圏内にあったので、まずチェックアウトの時に荷物を預け、日中は観光して周り、イスラマバードからメトロバスに乗ってこの宿に戻り荷物を受け取り、バス・スタンドに行ってサッカ行期のバスに乗るという予定でいました。

しかし、現実はというと、荷物は預かってくれないわ、メトロバスは動いてないわで目茶目茶です。しかし前向きに考えてみると、もしも荷物を預かってくれてメトロバスが動いてなかったしたらどうなったか?何としても荷物を受け取りに大渋滞の中をホテルに戻らねばなりませんでした。幸い、やる気のないホテルが荷物を預からなかったお陰で、ホテルに戻る必要はないのです。現に荷物は今、手元にあるのですから。まだまだ運にはみはなされていなかったと思うしかありません。

さぁ、サッカル行きのバスまでどうやってたどりつくか?なるべく、現地人にぼられることなくです。冷静に、ガイド本の地図を見直しました。すると今いる、イスラマバードのF8/4エリアから見て南東側に隣接するシタラ・エリアの中央に”サンミ・ダーウー・バスターミナル行きシャトルバス乗り場”という表記がありました。約1.5キロほど離れた所にです。しかしガイド本は2008年の発行ですから、今もってそれが存在しているのかどうかは不明です。この表記に賭けてみることにしました。重い荷物を背負っての徒歩は困難です。ビル前にとまっていたタクシーに乗りました。350PKRはたぶん、ぼられてます。

目的地にたどり着いて辺りを見て回ると・・・・あった!!(写真023参照)。2019年現在も変わらず窓口がありました!!(涙) ダーウー・エクスプレスの切符売り場&バス乗り場行きシャトルバス乗り場です。

ここからものすごく遠い所にダーウー・エキスプレスバス乗り場はあります。シャトルバスを待つスーツ姿の紳士(写真024参照)が実に親切な方でシャトルバスとサッカル行きのチケットをここで手に入れることができました。

日没となり小雨の中、シャトルバスは大渋滞の人工都市の大通りをひたすら南西へと走りぬけついに、ラワルピンディー・ダーウー・エキスプレス・バスターミナルに着いたのです!!本当に、感動しました。帰国して分かったことですが、このダーウー・エキスプレスというのはパキスタン全土を走る高級志向の高速バスネットワークです。よって料金は相当高めです。どの都市にもくまなく専用のバスターミナルがあるのですが、市街地の郊外にあるのが難点です。24時間営業で活気があるので、ここの待合室で夜を明かすというのはアリだと思います。

出発時間を迎えても、肝心のバスが来ません。どうやらここが始発というわけではなかったようでして、しばらくするとカラチ行きのバスが来ました。このバスがサッカル経由というわけです。バスのフロントガラスに始発の都市名が書かれていてびっくりしました(写真027参照)。なんと、アボダバード!!!

この都市名にピンと来る人は相当なマニアです。わかりますか?

正解は、アルカイダの総帥・ヴィン・ラディンが米軍によって殺害された場所です。こわぁ!!!

さぁ、今晩はバス泊。体力的にはきついですけど宿代、ぼられずにすむのでこっちのほうが気楽でいいです。これでラワルピンディーと縁が切れるかと思うと、すがすがしい気持ちになれました。おやすみなさい。
今日の収支
※1PKR(パキスタンルピー)=0.7022円

チンチー(フォワラチョーク→ピールワダイ・ジェネラル・バススタンド) 20
バス(パキスタンコーチサービス→タキシラ) 50
トゥクトゥク(タキシラバス停→タキシラ博物館前) 300
タキシラ博物館 500
タキシラエリア入場券 500
ダルマラージカーで寄付 50
ダルマラージカー案内役にチップ 50
モーラ・モラドゥ案内役にチップ 20
ツアー同行トゥクトゥク 1200
バス(タキシラ→ピールワダイバスストップ) 50
タクシー(ピールワダイバスストップ→シャー・ファイサル・モスク) 400
靴預け 5
バス(モスク→The Centaurus Mall Islamabad) 20
ビリヤニ 430
タクシー(The Centaurus Mall Islamabad→シタラマーケット) 350
シャトルバス(シタラマーケット→ラワルピンディー・ダーウー・バスターミナル) 50
バス(ラワルピンディー→サッカル) 3090
水1.5L 70

残金 10360PKR
2019.12.11 2019.12.13
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