2019年12月18日 世界一安い世界遺産ではないか?の巻
昨晩遅くに寒いダラムサラを出たバスは、翌朝日の出前の午前5時頃シムラーのバスステーションにたどり着きました。シムラーはダラムサラよりも海抜が高いので寒さが一段と厳しかったです。

シムラーは人口約17万人の都市です。1864年にイギリス領インドの夏の首都となり、冬の首都コルカタから毎年ここに首都機能が移されました。標高は2213 M、 夏は穏やかな気候で過ごしやすいのですが、私が訪れた12月は冬ですから厳しい寒さとなるのです。

売店でチャイを頼みましたが体を温めるには程遠く気休め程度であります。シムラーの中心地に移動するため、バスに乗りました。

夜明けまであと1時間近く待たなければなりませんでした。凍えそうな寒さの中、バスを降りると焚き火(写真001参照)を見つけました。これほど焚き火を嬉しく思ったのは生まれて初めてだったかもしれません。

夜が明けましたので荷物を背負ったままシムラーの中心地へ足を運びました。もちろん早朝なので店は開いてませんし通る人もまばらです。中心地にある古い劇場とキリスト教会を見たぐらいでしょうか(写真002〜006参照)。心震わすほどの見所はありません。

ガイド本には10時25分の列車が始発と書いてありましたので駅に移動することにしました。今日の旅の目的はインドに三つある世界遺産のトイトレインの内の一つ、カルカーシムラー鉄道写真007〜017参照)に乗ることであります。もちろん事前に切符は買っておりませんから当日券頼みです。全て売り切れということであればここに一泊するしかありません。そんなの嫌です!ドキドキしながら切符売り場に行きました。

「すいません一等席ください」「売り切れです」「じゃあに二等は?」「売り切れです」「空いてるとこはどこですか?」「三等ならあります」「それください」で買いました。

5時間半の乗車で運賃なんと50インドルピー(約75円)でした。世界遺産の列車に乗って自然豊かな大パノラマを5時間版も独占できるのです。すごいと思いませんか?私は素直に凄いと思うのです。それだけ地元庶民の大切な移動手段ということなのでしょう。最下等とはいえ、切符が買えてよかったです。プラットホームに行くと、お土産売り場がありました。身内に送るピンバッチ一個だけ買いました。自分へのお土産はありません。

午前10時40分、おそらく満員札止めであろう列車がシムラー駅を出発しました。旧国鉄時代の直角座席にして、とても小さなシートに横に列大人が座ると言う厳しい環境です。加えて私は体力を消耗しきっておりましたので、丁寧に動画を撮ったり写真を撮ったりと言うことにあまり気が回りませんでした。こういう所に貧乏旅行の弱点が現れます仕方ないけどね。

私が乗っているカルカーシムラー鉄道は総延長96 km の路線でイギリス統治時代の1903年夏の人への交通手段として敷設されました。区間中の標高差は1420 M、 途中に102のトンネル、864もの橋があります。トイトレインというだけあって線路幅は大変狭く標準軌の半分近い762ミリ(ナローゲージ)。2008年にインドの山岳鉄道群としてダージリンヒマラヤ鉄道、ニルギリ登山鉄道とともに世界遺産に指定されております。

ガイド本にはシムラーからカルカーに向かう際は左側に座ると良い書いてありましたが私が買った3等席の切符は、ありがたいことに左側の座席指定でありました。運が良かったです。

私は過去にダージリンヒマラヤ鉄道には乗ったことがありますから、今回この鉄道に乗ったことによって、世界遺産の鉄道の内、二つに乗ったことになりました。つまり王手です。いつか必ず残り一つにも乗ることになるでしょう。今度、乗る時には体力を温存して乗ろうと思います。

さてほぼ定刻通りに終点カルカー駅にたどり着きました。ここから割と近いところにチャンディガールと言う世界遺産の街があります。インドには珍しい近代化された街というので、今晩はそこに宿を取ろうと思います。カルカー駅でチャンディーガルまでの切符を買いましたが、何時に出発なのかどの列車に乗ればいいのかよく分かりません。駅には電光掲示板がありましたがインドでのそれはあってなきのごとくで、ほとんど役には立ちません。ここでも気力を振り絞る必要があります。客の乗車具合から、どうやらこの電車が先に出そうだなと勘を働かせ、車掌らしき人物に「チャンディガール?」と質問すると「乗れ」と返事が来ましたから素直に乗ると、10分後ぐらいには出発しました。

まるで護送車のような電車に乗ること約30分(写真018〜019参照)。チャンディガールに到着しました。プラットフォームにはものすごい人だかりで、私が降りたとたん原住民が怒涛のごとく電車の乗降口に殺到しました。この国で遠慮、躊躇、慎ましさというものを表に出すとその場に存在しない者として扱われておしまいです。最初の頃はずいぶん戸惑いましたが、今はおかげさまで大分慣れました。インドから帰国して間もない間はその図々しさをそのまま持ち込んでしまうことがあります。インドモードと日本モードを即座に使い分けるほど 器用ではありません。ここは大いに反省ポイントであります。

駅を出ると大勢の流しのタクシードライバーがいましたが、やり過ごして遠くにあるバス停まで歩きました。何台もバスが来ましたがどれが中心地に向かうバスがよく分かりません。どうもそれらしいというバスをみつけ乗りました。

日没後の中心地に移動すると、大きめのホテルは数件ありました。飛び込みで部屋は空いているか?値段はどうか?と尋ねてみましたが、さすがはインドに珍しい近代都市とあってダラムサラで泊まったような値段というわけにはいきませんでした。

バスターミナルにゲストハウスがあるとガイド本には書いてあったので行ってみると、まるで廃墟のようになってました。とうの昔に閉鎖されたようです。この辺りをうろうろしていると怪しいおじさんが近づいてきて、「俺がいいホテルを紹介してやる」と言ってきたのでついて行くことにしました。そのおじさんに言われるがままサイクルリクシャーに乗りました。ものの10分で少し外れたエリアのホテルに連れて行かれました。「ここは安いからな」と言うわりには、さっき見て回ったホテルと値段はほとんど変わりません。元の場所に戻りたくないのでここに決めました。

本当にこんな高いホテルしかこのエリアにはないのかとホテルの wi-fi で色々調べると、一箇所だけ激安ゲストハウスがここから歩いて10分ぐらいのところにあると分かりましたので、明日の晩の予約を Booking . com でとりました。明日の晩、どんな部屋が私を待ち受けているのでしょうか?とてもとても楽しみです。明日は世界遺産チャンディーガルを一日見て回る予定です。
今日の収支
※1INR(インドルピー)=1.53円

チャイ 10
バス(ジェネラル・バス・ステーション→シムラー駅近郊バス・ステーション) 10
バス(シムラー駅近郊バス・ステーション→シムラー駅) 10
カルカー・シムラー鉄道3等席 50
ピンバッジ 80
鉄道(カルカー駅→チャンディガル駅) 30
バス(チャンディガル駅→市街地) 15
サイクル・リクシャー 20
チップ 20
ホテル 1800
水1L 20

残金 2762INR
2019.12.17 2019.12.19
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