3月27日 クアラルンプールからいよいよインド。今回はチェンナイだ。
 現地時間午前6時半ごろマレーシアのクアラルンプールLCCT空港へ到着した。日本との時差は1時間の遅れです。1時間だけ時計を戻すわけだ。昨年何度も利用した空港なので、どこに何があるかは勝手知ったる間柄。さっさとKLセントラルという市内中心地行きのバスに乗る。

↑昨年はこのバス停を見つけるだけでも苦労したな。到着し、駅のコインロッカーに直行。荷物を預ける。

 チェンナイ行きの飛行機は16時発。よって13時半までの市内観光だ。駅近くの国立博物館を選ぶ。駅のすぐ近くだが日本とは事情が違う。歩道がなければ横断歩道もない。車道の端を逆送しながら歩くしかない。成長著しいとは耳にするものの実際行ってみればそんな感じだ。国立博物館到着。5MYR。


↑ちょうど日本のツアー団体も到着。ガイドを聞くため団体に紛れ込む。恐らく「誰?この人?」って心の中で思われたことだろう。


↑この人が現地のガイド。日本語が上手。

 ここはマレーシアの前史から現代までが4つのフロアーに分けられておりテンポよく眺めることができる。クアラルンプールは見るところが少ないがここは行く価値があると思う。マレーシア史の中でマラッカがいかに重要拠点であったかを知ることができる。
 太平洋戦争時、自転車で北から南へマレー半島を制圧したのが旧日本帝国軍である。自転車があるぞぉ!! 軍服と日本刀もあるぞぉ!!

 

 KLセントラル駅で1000円を36.3MYRに両替する。次の目的地へ急ぐ。時間が少ない。ここから北東の繁華街・ブッキビタンで小籠包(しょうろんぽう)が絶品の鼎泰豐(ディンタイフォン)があり日本で食べるより相当に安値であるらしい。移動はモノレールだ。しかしモノレール駅はここKLセントラル駅に直結していない。雨が降ろうが風が吹こうが乗り換えのためには結構な距離を歩かなければならない。分かりやすく言えば、地下鉄堀田駅と名鉄堀田駅という感じ。JR岐阜駅と名鉄岐阜駅とか。もっと分かりにくいか。現地の通勤客はこの不便をどう思っているのだろうか?

 ブッキビタンの商業施設・パビリオン内に店はある。小籠包6個、豚スペアリブチャーハン、サンラータンS(辛いスープ)で締めて38.65MYR(約1064円)。ん〜、確かに安い。しかしこの旅行、最初で最後のご馳走となるだろう。

 

 急ぎLCCT空港へ戻る。ポケットには2.3MYR(63円)だけ。必要最小限の両替であった。インド南部のチェンナイに向かう。旧マドラス。英国の人気歌手エンゲルベルト・フンパーディンクの故郷。



 約3時間半のフライト。時差は日本の3時間半。さっき1時間、時計を巻いたから2時間半巻く。現在17時。空港外へのはじめの一歩がとにかく楽しみ。どんないかがわしい奴が狙ってくるか? さぁ外へ出た!!

皆、普通。誰も怪しい誘いをかけて来ない!! 面白くない。拍子抜けだ。


↑チェンナイ空港外。

 ガイドブック(地球の歩き方 インド編)によると空港近くにローカル鉄道駅があるそうだ。市内中心地から南部の観光地まで安値でいける。何せ庶民の足だから。これだけ近けりゃいくらか観光客もいるだろうとプラットホームに立つと・・・、

観光客は私一人だった。


 
↑観光客ゼロのティルサラム駅プラットフォーム。駅表示がロンドンのメトロみたいだ。

 南のチェンガルパトゥという街を目指す。明日の観光には便利だからだ。切符9R。時刻表発見。チェンガルパテゥ行きは30分に1本くらいであとは、途中駅どまり。10分に一本の間隔だ。ある青年に「チェンガルパトゥはこっちでいいの?」と聞くと「そうだよ」と。ホッとして左となりに座る。この青年が「一緒に連れてってあげるよ」と言い出す。目的地が偶然一緒? 「自宅がそこなの?」「いいや、僕はもうフリーだからさ。ノープロブレム!!」ときた。言われたこっちはプロブレムだ。不安が増す。

 ところで私は昨年、右ポケットに入れた財布をあのタジマハールで窃盗集団によって盗まれた。その教訓から、少額をマジックテープ付きの“左ポケット”に入れることにした。盗人は常に右ポケットを狙ってくるからだ。仮にこの青年が盗人であるとしても、私は彼の左に座っているから左ポケットは彼から遠い位置となる。実に安全だ。私は、何も入っていない右ポケットに手を突っ込み続け相手に警戒信号を送った。「私、このポケットに意識が行ってますよ」というように。しばらくするとこの青年、「へい!! どうしてポケットに手を入れてんだ? その大荷物もこっちへ置きなよ」ときたもんだ。やはり怪しい!!

 電車が来るたびに「これには乗るな。途中で止まる」の繰り返し。途中ある1本の電車がユニークだった。それは女性専用列車である。12両近くある車両すべてが女性なのである。女性専用車両ならぬ女性専用列車。初めて見て驚いた。パックツアーではお目にかかることのできない旅の楽しみの1つである。

 「乗っちゃダメ」「乗っちゃダメ」攻撃が続く。1時間経過。ついにプラットホームで、

日没となった!!

 インドを旅する上での注意点。それは、日没までに移動は済ませろという安全上の鉄則だ。しかし、いまだに移動距離ゼロだ。これからはこの青年を“野郎”と呼ぶことにする。列車に乗らせないは、水をよこせと言うは一体この野郎は何者だ? すると野郎が言った。

「じゃぁ、終点の途中駅からバスに乗って行こうか」
もっと早く言えボケ!!

 入国早々、1時間を無駄にした。次の電車に乗った。また水をくれという。後で分かることだが水の貸し借りはこの国ではよくあることなのだ。飲ませた。そいつのリュックの脇を見ると、

水入りボトルがあった。

 今度要求してきたら殴ってやることにした。終点に着いた。「ついといで。バス乗り場は駅の前だから」と。私はさすがに「ありがとう。もういから。君は君で行きたいところに行っとくれ」と言う。「いいんだ。僕はフリーだからさ」「いや結構だ」「じゃぁお願いがある」「お願い? 何だ?」

「今晩僕を、君の部屋に泊めてくれ!!」
「おーーーい。誰か私を日本に帰してぇ!!!」


 驚天動地の最後っ屁だった。きっちり断ると、さっさと暗闇に消えていった。金は持っていそうだし、一体何がしたかったのだろうか? なぞを残して先を急ぐ。

 帰国後このことを妻に話すと妻にはピン!ときたようだ。「分かった!!」「何?」

「その人多分、ホモだわ」 たぶん図星だと思う。

 ここはタンブラムという大きな駅で、どうやらチェンナイ中心地とここを頻繁に電車がシャトル運行しており、タンブラムより先は急激に本数が減るようだ。チェンガルパトゥを目指すなら電車にこだわらずここでバスに乗り換えた方が得策であったいうわけだ。もちろんガイドブックにそんな細かなことは書かれていない。私はいんちき青年のお陰で、最も合理的な行き方を教わったということになる。いいんだか悪いんだか・・・。

 バスで2時間弱南下。途中、何も無い場所でバスが止まり一人の西洋人男性が乗ってきた。重い荷物もなく明らかに定住者の風体だ。わけが分からない。バスの中は現地人に混じって観光客の私が一人ぽっち。嫌でも目立つ。西洋人が「どこ行くの?」話しかけてきた。「チェンガルパトゥだ」「おぅ、僕もだ」と言う。着いた。彼は私が心配なようだ。「ここで何をする?」「今晩のロッジ(南インドではロッジという。ちなみにホテルはレストランを意味する)を探すんだ」「よせ。ここには無い」と言うではないか。「それは困った。明日、カンチープラムを観光するのに」というと、「それだ。今すぐ行け!」と。今すぐにってもう21時は過ぎている。「今から行けるの?」「あのバスだ」と一台のバスを指差した。私はバスの車掌に「カンチープラム?」と聞くと「乗れ!!」ときた。西洋人に感謝して約1時間バスに揺られた。もう22時をゆうにまわった。明日の観光予定地・カンチープラムに意図せず着いてしまった。空港のプリペードタクシーを使えば1000R(約1700円)かかる道のりを43R(73円)で片付けられた。

 ロッジの部屋を見つけ(400R 高っ!!)おやすみなさい。
 
↑部屋               ↑トイレ

支払金額(1MYR=27.5円、1R=1.65円)
マレーシア
LCCT→KLセントラル(バス) 8MYR、コインロッカー 10MYR、国立博物館 5MYR、
モノレール 2.1MYR、鼎泰豐(ディンタイフォン) 38.65MYR、モノレール 2.1MYR、
KLセントラル→LCCT(バス) 8MYR
合計 73.85MYR
1000円→36.3MYRに両替

インド
ティルサラム駅→チェンガルパトゥ駅(鉄道) 9R、タンバラム→チェンガルパトゥ(バス) 9R、チェンガルパトゥ→カンチープラム(バス) 25R、ロッジ(ダブルルーム) 400R
合計 443R
2000円→950Rに両替

残高
34825円、2.3MYR、711R、120ドル、T/C650ドル
2012.03.26 2012.03.28
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